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A Multi-year Global Project on the Role of Aquariums
「水族館の役割を問い直す旅」
OSACANAは、水族館ナビゲーター™あおぺんの活動を軸に、世界各地の水族館を訪ね歩きながら、「水族館はこれからの社会でどのような役割を果たしうるのか」を問い直す長期プロジェクトを進めています。
プロジェクトのねらい
水族館は、生物展示だけでなく、環境教育や保全活動、地域との連携、観光・経済への波及など、多様な役割を担う存在です。本プロジェクトでは、
- 水族館に関わる人々(ボランティア・スタッフ・研究者など)の実践と学び
- 水族館という「場」が地域社会と結びつく仕組み
- 業界団体や行政・教育機関・企業との協働のあり方
といった視点から世界の水族館を取材し、その知見を日本と世界に還元していくことを目指します。
4つの探究テーマ
Management & Partnership (経営とパートナーシップ)
運営主体やガバナンスの違い、他機関との連携構造など、水族館を取り巻くエコシステムに注目します。持続可能な経営と社会的インパクト創出を両立させるためのパートナーシップと制度設計のあり方を整理します。
Volunteer & Community (ボランティアと共創)
ボランティアの募集、育成、役割配置、および運営のマネジメントプロセスを究明します。ボランティアが単なる解説員を超え、展示と来館者をつなぐ「コミュニケータ」として機能するための具体的な手法を分析・設計します。
Dialogue & Action (対話と行動)
展示を「対話の場」と定義し、展示に込められた物語がいかに人間と自然の関係を再構成し、行動へ接続されるのかを解析します。世界の見え方の更新を通じて、来館者が内発的なアクションを選択するための導線を設計します。
Pathways & Growth (担い手としくみ)
偶発的な参加を起点に、人がいかにして社会の「担い手」へと変容するのか、その成長経路と環境条件を特定します。個人の資質に頼らず、参加者が主体の担い手へと変化するための「育みのしくみ」を解明します。
これら4つのテーマを軸に、映像コンテンツ・記事・研究発表など、複数の形で知見を共有していきます。
Phase 0:ヨーロッパ編 ― 物語の再構成と行動変容
本プロジェクトの出発点は、ヨーロッパの先進的な水族館・海洋博物館です。
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ヨーロッパ各地の水族館・海洋博物館8館を取材し、水族館の役割が「観察と学習(知識の追求)」から「保全と環境教育(意識の変革)」、そして「体験と行動変容(共創と実践)」へとシフトしつつあることを、参加型・没入型の展示や映像表現(ハイパーリアリティ)の実践を通じて描き出しました。
- Oceanogràfic de València(バレンシア, スペイン)
- Nausicaá - Centre National de la Mer(ブローニュ=シュル=メール, フランス)
- Aquarium Berlin(ベルリン, ドイツ)
- AQUATIS Aquarium-Vivarium Lausanne(ローザンヌ, スイス)
- Skansen-Akvariet & Baltic Sea Science Center(ストックホルム, スウェーデン)
- Nordsøen Oceanarium(ヒアツハルス, デンマーク)
- Musée Océanographique de Monaco(モナコ, モナコ)
- Deutsches Meeresmuseum, MEERESMUSEUM & OZEANEUM(シュトラールズント, ドイツ)
- それぞれの館のミッションや展示コンセプト、地域との関係性などを比較し、水族館における学習プロセスと体験価値が、どのように行動変容へ接続されうるのかを整理しました。
- これらの内容は、YouTube「日本人が知らない水族館の未来。ヨーロッパ編」や関連する記事・講演として順次公開していきます。
Phase 1:北米西海岸編 ― 担い手を育む環境設計(予定)
Phase 1では、北米西海岸の主要な水族館6館を対象に、ボランティアと地域コミュニティがどのように関わり合い、水族館という「場」を支えているのかを集中的に調査します。
- ボランティアの募集・選抜・研修・評価・継続支援のプロセスや、ティーンプログラム、市民科学、教育イベントなど、来館者との接点となる活動に焦点を当てます。
- 得られた知見は、西海岸編の映像や、水族館ボランティアマネジメントに関する研究発表・レポートとして順次公開していきます。
今後の展開(複数地域への拡張)
ヨーロッパ編で得られた示唆を土台として、今後数年をかけ、複数の地域・文化圏(北米・アジア・オセアニア)に所在する水族館を対象に、ボランティア・キャリア・行動変容・経営に焦点を当てた取材と調査を進めていきます。
- ボランティアプログラムや市民科学、若者向けプログラムなど、「人」が主役となる取り組みの紹介。
- ボランティアやスタッフのライフストーリーを通じた、「水族館で育つキャリアと市民性」の可視化。
- 展示や解説、ガイド、プログラムを通じて、学びが行動変容へどうつながるかの検討。
- 運営主体の違いやパートナーシップの構造を踏まえた、水族館のガバナンスと役割の比較。
取材で得られた内容は、映像コンテンツとしての公開に加え、学会発表や専門誌・レポートなどを通じて、業界内外の議論に資する形で共有していきます。
アウトプットと協業のイメージ
- 映像発信:YouTube「水族館ナビゲーター™あおぺん」でのシリーズ企画や、代表ブログ「わが街に水族館は必要か?」での特集記事。
- 研究・レポート:ボランティアマネジメント、水族館経営・組織間協働、キャリアに関する研究発表・論文・レポート。
- 対話の場:水族館関係者・ボランティア・教育者・研究者・企業等が集まり、「水族館のこれから」を共に考えるワークショップやシンポジウム。
本プロジェクトでは、国内外の水族館・動物園・教育機関・研究者・企業・行政・業界団体との協働を歓迎しています。取材の受け入れや共同研究、スタッフ・ボランティアのインタビュー、シンポジウムでの対話の機会など、ご関心をお持ちの方はトップページからお気軽にお問い合わせください。